なぜ定時帰りできないのか。7
昨日の続きです。
こちらの記事を深掘りしていきます。本日がまとめです。
働き方改革の行き着く先は?
働き方のアンインストールは10年くらいかかると個人的には思っています。それまで何とか日本の経営がもてばいいのですが、せめぎ合いですね。(18年の)国会での働き方改革関連法案の議論にはちょっと絶望しました。100時間がいいのか、あるいは80時間といった上限規制についての労使の問題になってしまった。しかも与野党の政治の駆け引きにもされている。なぜ残業が起きるかの議論が全くない。この問題は利害関係者が多いので、なかなか変わらないのだろうなと感じます。
戦後の高度経済成長期に支えられた日本は、(その時の体制に)あらゆるものが最適化されてきました。それらを解除していくにはとても時間がかかると思いますね。
中原氏いわく、日本のこの体質が変わるまで10年は必要とのこと。
戦後→高度経済成長を経てここまで飛躍してきた日本は果たして10年で変われるのでしょうか?
私は少し難しいのかなと思っています。というかこの変化の波に適合していく人と、そうでない人の二分化が進んでいくのではないかと思っています。
労働基準法の改正でこの4月から残業時間にも一定の歯止めがかけられました。
今までは実質的には青天井でしたのでそこからまずは前進といった感じでしょうか。
「法律変えてもそう簡単に会社は変わらないでしょ」と思われる方も多いですが、
経営者は意外と敏感です。会社をなるべく危険にさらしたくない、少しは法律を守らないとな、というように法令に近づけようというインセンティブが自ずと働きます。
その一方で最低賃金は上昇の一途をたどります。特に安倍政権になったこの6年間の伸び率は著しいです。
「ひと目でわかる最低賃金」という便利なサイトからの引用です。
こちらは2013年の最低賃金の全国の最低賃金です。(一部切れてますが。)
続いて2018年の最低賃金です。
多くの都道府県が1000円に近づいてきました。
全国の加重平均は2013年:764円から2018年:874円へ上昇。
なんと伸び率は約14%です。
労働時間は短くなる一方でベースの賃金は上昇し続けています。
もちろん皆が皆最低賃金で仕事しているわけではないので一概には言えませんが、
会社の支払うコストが増加していることに変わりはありません。
そのコストを上回るだけの生産性向上を果たせない企業は淘汰されていきます。
この政府が作り上げている流れに乗れるかどうか、今企業は正念場を迎えています。
残業削減に「魔法の杖」はやっぱり存在しない
今日あった話タイムリーな話を一つ。
久々に会った大学時代の後輩がまさにこの残業問題に悩まされてました。
その後輩は「人手不足で仕事が終わらない」「忙しい先輩から仕事を頼まれて帰りたくても帰れない」「早く帰れたとしてもも先輩を手伝うので結局帰れない」といった理由で残業をしていました。
また今年になって20時になるとパソコンのネット接続が切れるような仕組みが導入されたそうです。はじめの内は20時ころに仕事を切り上げていたそうですが、非常用の回線がありそれが使えることが分かると徐々に残業が常態化。結局元の状態に戻ってしまったそうです。
この話を聞いて結局のところ「残業をなくすための対策は会社ごと違うんだな」と思いました。その後輩の会社の抱える問題と私の会社の抱える問題は全くの別物。唯一絶対の方法で解決することなど不可能で会社ごとに色々試して効果を見ていくないのだろうな、と感じました。
またその後輩自身のマインドが変化していくことも欠かせないと同時に感じました。曰く「残業=善」という感覚がぬぐえないという話をしていました。残業はあってしかるべき、という昔の私と同じ価値観をもっていました。この価値観を変えていくことも同時に欠かせないと感じました。
そしてもう一つ感じたのは、改革はドラスティックにやるべき、ということです。今回の場合、非常用の回線を残してしまったことが命取りだったと思います。やるなら非常用回線もない状態、完璧にネットがつながらないという環境が作れれば20時強制退社は実現する可能性は高まっていたと思います。人間は慣れの動物です。何とかして元の生活に戻そうとする本能を持ち合わせています。そのような意味で現場の社員だけでなく、改革を実行する人事と経営層も踏み込んでいく勇気を持たなけばならないのだなと思いました。
結局残業を減らすには個人、会社、日本、というあらゆる分母が変化していかないといけないのだと思いました。今は政府主導で日本全体の雰囲気が変わりつつあります。
私自身も自分の過去を言い訳にするのではなく、残業しない生活を手に入れるために努力をしていこうという風に思いました。
今日で繁忙期が終わり一段落。
来週からさっそく「残業しない」を実践していきたいと思います!!