【書評】残業学 明日からどう働くか?どう働いてもらうか?⑤
一昨日の続きです。
「残業学 明日からどう働くか?どう働いてもらうか?」の書評を書かせていただいています。
残業は「感染」する
本書では残業は周囲へ感染することで発生していると指摘しています。
感染するとはどういうことでしょうか??
(p158)今回、残業を生みやすい職場の特性や風土について調査したところ、残業への影響度が一番高かった要因は「周りの人がまだ働いていると帰りにくい雰囲気」でした。2位以下の要因を見ても「休憩を惜しんで作業を進める雰囲気」「始業よりも前の出社が推奨されている」など、明文化されていない、でもみんなが従っている「暗黙の了解」が並びます。
(中略)
本書では、「職場内の無言のプレッシャーや同調圧力によって残業してしまう」現象を「感染」と表現することにしました。
これよくありますよね。
残業してしまう若い社員の理由の多くはここにあるのではないでしょうか。
私も経験があります。前職時代は自分の仕事が終わっていても「チームのため」「支店のため」残業をすることが当たり前でした。
むしろ残業をしなければ「非協力的な奴」と思われてしまう恐れすらありました。
私は残業することに疑いがなかったので全く抵抗感を感じていませんでしたが、
職場の中では反発する声もありました。
更にこの状況を悪化させる要因として「残業インフルエンサー」という存在についても指摘されています。
(p164)社内でも目立つ存在であるエース社員、ロールモデル社員の働き方は、他の社員に大きな影響を与えます。もし、こうした社員が毎晩遅くまで働いていたら、どうでしょうか。残業時間は長いが、非常に活躍する社員、つまり「残業インフルエンサー」がいる職場では、早く帰る社員は「仕事ができない」というレッテルを貼られることを恐れるでしょう。
(中略)
そうなると、職場に「帰りにくい雰囲気」が生まれ、空気を読んだ若手社員が残業をすることになり、結果、全員が長時間残業をする「感染」状況に陥ります。
上司がいると帰りにくい、仕事ができるあの人が残業しているなら私も残業しないとな、という無言のメッセージを周りは勝手に受信してしまっています。
実は私は今の職場でこの「残業インフルエンサー」に勝手に影響を受けて
残業をしまっていました。
それは私の尊敬する直属の上司に影響を受けていました。
その上司は私が社会人生活をしてきた中で最も仕事ができる人物なのですが、
業務量も多くいつも残業しています。
その姿と近くでみているので私も残業が許される時間いっぱいまで仕事に取り組んでいた時期がありました。
私はそれが正義であり、会社・上司に貢献している姿を見せていることにつながっている、と思っていました。
しかし現実は違いました。ある日その上司から「もっと生産性を上げて早く帰れないのか?他の人と比べて残業も多いからちょっとどうにかならないか。」と苦言を呈されました。
つまり上司は私が残業をしていることなど全く評価していなかったのです。
逆に自分の仕事が終わらなくて生産性が低い人だ、とさえ思われていたのです。
結局のところ本書にもあるように、残業に対する周りの評価は自分の思い込みで決めてしまっているケースが多いのではないかと思います。
企業にとっては残業代は高いコストでしかありません。できれば少ない残業代で抑えたい、ということが本音でしょう。経営層は残業に対してネガティブかもしれません。
自分の勝手な思い込みで「残業しなければならない」という固定観念を持っている人はそれを捨てて一度試してみてください。意外と簡単にできるかもしれません。
もしくは自分の直属の上司に「残業することについてどう思いますか?」と確認してみることをおすすめします!